北海道南西部、噴火湾は渡島(おしま)半島にぐるっと囲まれた大きな湾です。たくさんの河川から栄養豊富な水が流れ込み、寒流の千島海流と暖流の津軽海流がぶつかる地域のため、噴火湾は非常に豊かな漁場となっています。
主にはアカガレイに代表されるカレイ、高級エビで知られるボタンエビなどの漁や、ホタテの養殖が盛んに行われています。
2023年の春、噴火湾で異常事態が起こりました。
これまでは網にたまにかかる程度だったオオズワイガニが大量発生。目的のカレイやボタンエビが獲れないばかりか、網が破られてしまう被害も続出したのです。
同年6月末ごろ、現地ではオオズワイガニの特売セールが行われ、この事態が各種メディアでも取り上げられるようになりました。
しかし、その報道から3ヶ月たった9月になっても事態は改善しませんでした。
9月に入り、秋のボタンエビ漁が始まってもオオズワイガニばかりが籠に入る状況が続き、肝心のボタンエビはほとんど入っていませんでした。
そして年が明け今年の春、SNSやYouTubeで話題となり一時的に価格が上がったことから、オオズワイガニが新しい名物として定着するかにも思ましたが、今年9月は再び根が下がっている状況です。
漁師さんの中には、オオズワイガニを漁獲して一旦水揚げした後で、同じ場所で目当てのボタンエビの漁をする方もいらっしゃいます。結果かかる労力や燃料は倍。こんな状況がいつまで続くのかと漁業関係者は頭を抱えています。
「せっかくカニが大量に獲れるなら今後はカニをメインにしては?」という声も上がりますが、現実はそう簡単にはいきません。
オオズワイガニという名前から大きなカニを想像される方もいますが、今漁獲されるのは200g前後のサイズがメインとなり、市場価値はボタンエビやケガニ、カレイ類に比べられないほど低いものです。
大きく育つまで待てば、という意見もありますが、カニが育つまで収入源が確保できないのは漁師としては死活問題です。
また、今回オオズワイガニが増えた原因について、いくつか説はあるもののはっきりしていません。
1980年にも一度オオズワイガニが大量発生したことがあったそうですが、その際は約1年でいなくなったそうです。
今回もすぐいなくなるかもしれませんし、しばらくこの状況は続くのかもしれません。
それは誰にもわかりません。
日本周辺に生息しているズワイガニの仲間は主にズワイガニ(本ズワイガニ)、ベニズワイガニ、オオズワイガニの3種類。
中でもズワイガニは非常に高値で取引されます。
ベニズワイガニは日本周辺にしか生息せず、ズワイガニに比べるとリーズナブル。
そしてオオズワイガニはこれまで日本では他の2種ほどは流通していませんでした。
では、あんまり美味しくないの?と思いきや、食べてみるととても美味しい!
成長が早いらしいのでその分水っぽいのでは?と思っていましたが、全然そんなことはなく味も濃く舌触りも良い、とても美味しいカニです。
そしてミソの味がとても濃厚。カニの身をミソにつけて食べるとたまりません!
茹でる際は3〜4%食塩水(水1リットルに食塩大さじ2杯)で茹でると美味しくできます。
ここで食塩水で茹でることがとても大事で、真水で茹でると旨味が外に逃げてしまいます。
沸騰した鍋にカニの甲羅を下にして入れ、再沸騰から15〜20分ほど茹でるればできあがり。
加熱が甘いと少し時間がたったときに黒く変色しやすいのでご注意ください。
ただし変色しても問題なく食べられます。
また、蒸しても美味しいです。フライパンにクッキングシートを敷き、その上に甲羅を下にしてカニを並べます。
フライパンとクッキングシートの間に水を入れ、蓋をして火にかけ、沸騰したら15分程度蒸したら完成。
蒸す場合はカニの味付けは不要です。
もちろん鍋に入れたり、焼いてもとても美味しく召し上がっていただけます。
Xで「加熱の前に脚を全部切ってしまえば効率が格段に上がる!」という投稿があり、早速試してみました。
カニの脚を根本からキッチンばさみで切りました。もちろん包丁でも大丈夫です。
脚は鍋で塩茹でに、胴体はフライパンで蒸しました。
脚だけの場合は比較的火が通りやすいので、再沸騰から5〜6分茹でれば完了です。
胴体の方は茹でても良いですが、切った場所からカニミソが流れ出る可能性があるので、蒸した方がベターなようです。
たくさん届いてずっとカニを茹でてる、という声も多く寄せられたんですが、この方法で効率が一気にあがりました!
メスのカニには外子(そとこ)と内子(うちこ)が入っています。
「ふんどし」と呼ばれるお腹の部分をめくると、オレンジ色のつぶつぶがたくさん付いています。これが外子です。
茹でた外子も美味しいですが、現地では生の外子をめんつゆに一晩漬けてご飯にかけて食べるそうです。
かわうそ市場スタッフも早速やってみましたがこれは絶品!
カニが新鮮なうちにぜひ試してみてください!
そしてメスのカニの醍醐味は内子です。
殻を割るとカニミソの横にひときわ鮮やかなオレンジ色のものがあります。これが内子です。
濃厚な味わいはまさに珍味。日本酒が飛ぶようになくなります。
Xで「内子の塩辛を作ったけれどとても美味しい!」というコメントをいただいたので作ってみました!
生のカニの活きが良さそうなものをチョイスして、殻を開け、内子のみをザルに取り出します。
塩を振って10分ほど待ち、余計な水分を抜きます。
その後、塩をお好みの量加えてよく混ぜ、冷蔵庫で1〜2日ほど置くと塩辛の完成!
これは…お酒が進みまくりますね!
もちろん熱いご飯にも!
今回お届けするのは、生・ボイル済みの冷蔵・ボイル済みの冷凍の3種類。それぞれサイズが2種類あって、合計6つの商品となっています。
生の商品は、水揚げされたオオズワイガニを雄雌・大きさ無選別で箱にたっぷり詰めた商品です。
大きさによって入る匹数もかなり変わりますが、4.5kgの商品で20匹前後、2.5kgの商品で10匹前後となります。
ボイル済みの商品は、水揚げされたカニをすぐに塩茹でして箱に詰めてお届けします。到着後すぐに食べられる冷蔵の商品と、受け取りしやすい冷凍の商品があります。
ボイルするとカニの水分が抜けるため生の状態より少し重量が減るため、生の2.5kgとボイル済みの2kgが同程度の量となります。
4kgの商品は、2kgの商品の箱を2つ合わせてお届けします。
オスの方が大きな個体が多く食べごたえがある一方で、メスは内子などのメスならではの部位が食べられます。
日によってオス・メスの水揚げ量には偏りがあり、オスのみまたはメスのみでのお届けとなる場合があります。また、足や爪が一部取れている個体も混じることがあります。
可能な限り低価格でご提供するために無選別で梱包するので、オス・メスに偏りが出る可能性はあり、どちらか一方のみになる可能性もありますが、その点はご容赦ください。
この価格でお腹いっぱいにカニを食べられる機会もあまりないと思います。
ぜひオオズワイガニを食べて漁師さんを応援してください!
冒頭でもご説明した通り、噴火湾は本当に豊かな海でさまざまな魚介類の宝庫となっています。
そんな中でも噴火湾を代表するホタテや、隠れた名産と言われるつぶ貝(タコツブ)もラインナップに加わりました。
※ホタテは冬に再販予定です。
「カニが大量発生して大変らしいから力を貸してあげてほしい」そんな話が野見漁協の西山組合長からあったのは2023年6月でした。
ズワイガニが大量発生だなんて夢みたいな話かと思いきや、お話をよく伺ってみるとそこには夢どころか悪夢みたいな現実が広がっていました。
そもそも北海道のものを高知かわうそ市場で販売するのか?という議論もあり、夏場は一度掲載を見合わせていたのですが、9月になっても状況が全く改善しないということで再度ご相談をいただき、今回の掲載に至りました。
現地の漁師さんにもかわうそ市場にも話をくれた西山さんにもそれぞれの思いがありますが、この記事を読んでいただいたみなさんはそんなに考え過ぎずに、ぜひお気軽に買って食べてみていただきたいなと思います。
カニをこの値段でお腹いっぱい食べられる機会もそうそう無いですし、単純にオオズワイガニはとても美味しいです。
そしてもし良ければ、今度は噴火湾の美味しいカレイやボタンエビをぜひ取り寄せてみてください。
そういえば、せっかくだから高知の食べ方で!と思って伝統料理の「ツガニ汁」風にもしてみました。
オオズワイガニをすりつぶし、エキスを水に溶かし、それを沸かしてモロモロしたものが浮かんできたところを醤油で味を整えて完成です。
めちゃくちゃ美味しいんですが、労力を考えたら普通に茹でて食べる方が良いね、という結論に至りました。
もしやってみたい方は詳しい作り方をお伝えしますのでお問合せください。
※こちらの記事は、2023年9月29日に公開したものを加筆・修正したものです。